このシリーズは、世界初のトレーディングカードゲームであるマジック・ザ・ギャザリング(MTG)のアートやフレイバーに無理やりメタルを紐付けて強引にオススメ曲を紹介する記事群である。
絆リス
緻密な世界観と魅力的なアートをベースとした圧倒的なフレイバーを持ったトレーディングカードゲーム「マジック:ザ・ギャザリング」を、より豊潤にしうる音楽であるメタル・ハードロックの数々を紹介していければと思う次第である。
これを読んでいただいたマジックプレイヤーが気に入ったメタルを見つけだすきっかけとなれば望外である。
マーベリックと人間椅子「異端者の悲しみ」
「マーベリック」と呼ばれるデッキをご存じだろうか。
MTGのレガシーフォーマットに存在する緑と白をベースとしたビート・コントロールデッキである。
マーベリックはこんな感じのデッキ
あらゆる土地にアクセスしながらサイズアップしてゆく聖遺の騎士を主戦力とし、マナ加速とマナ否定戦略、そして緑の太陽の頂点によるシルバーバレット戦略を交えてビートダウンしていく。
白も採用していることから、ルーンの母、石鍛冶の神秘家、スレイベンの守護者、サリアといったクリーチャーを採用することが多い。
緑の太陽の頂点が登場した2011年ころからレガシー環境に存在するという。
今も年に数回くらい大きな大会で結果を残しているのが確認できる、そんな立ち位置のアーキタイプである。
諸説あるようである。
ひとつは、シルバーバレット戦略で呼び出す1枚刺しのクリーチャーを「一匹狼 ≒ 異端者(maverick)」としているという説。
あるいは、始祖ともいえる有名プレイヤーLuis Viciano氏のハンドルネームM@verickから来ているという説があるようだ(ちなみに氏は緑の太陽の頂点ではなく、霊気の薬瓶を採用している型を使用)。
アーキタイプ名や歴史に関して、こちらのレガシーマーベリック専門サイト(!?)を参考にさせていただいた。
英語である。
さてこの記事では、シルバーバレット戦略異端者説をベースにお勧め曲の紹介へとこじつけていきたいと思う。
MTGプレイヤーよ、人間椅子の異端者の悲しみを聴くべし
マーベリック好きに(限らず広く)聴いてほしいのが孤高のハードロックバンド・人間椅子の「異端者の悲しみ」である。
人間椅子は、活動30年にして最盛期を更新し続ける日本のハードロックバンドだ。
「 “あの世” も含めた様々な異次元から見たこの世を描いた」という傑作アルバム「異次元からの咆哮」のラストを飾る楽曲が、この異端者の悲しみである。
この楽曲は、かの谷崎潤一郎の同名の小説と、加えて更に別のある本から着想を得て作り上げたものだという。
この世に紛れ込んだ異端者に告ぐ
ところで、「自分は何か使命をもてこの世に生まれたはずだ、しかしこの世界に対してどうしようもない違和感を拭えない」、そんな気持ちを持って日々過ごしている人は少なからずいるのではなかろうか?
この曲は、そんな違和感のある現代社会にて思い悩み彷徨い続ける人を「異端者」として描き、悲しみ、絶望、怒り、そしてその中の一筋の光をも垣間見せつつ描いた大作となっている。
ということで、多元宇宙に住まうあらゆるクリーチャーの中でも、ピンポイントで有用な緑クリーチャーが厳選され採用されているマーベリック。
時としては場違いになりうるこれらのクリーチャーだが、1枚刺しにしておくことで、余計なタイミングで引く可能性を抑えることができる。
そして緑の太陽の頂点で、ここぞというときに呼び出されるのである。
そしてあらゆる状況が起こりえるMTGのレガシーフォーマットにおいて、マーベリックはその1枚刺しのクリーチャーにその使命を全うさせようとする。
緑の太陽の頂点は、そんな異端者的クリーチャーにとっての一筋の光なのだろう。
ちなみに筆者が好きなクリーチャーは聖遺の騎士である。
より知りたい人のための人間椅子関連の記事
アルバムリリース時のインタビュー記事。
参考
【インタビュー】ロックバンド「人間椅子」20作目のスタジオアルバム『異次元からの咆哮』を発表! かつてない産みの苦しみを越えてRocketNews24
本に関するサイトのインタビュー記事。
参考
向こう側の世界から、こちら側を見るための本(和嶋慎治 インタビュー)ホンシェルジュ
和嶋氏による「異端者の悲しみ」解説(後半有料)。
参考
我々は覚醒しているーーワンダラー讃歌「異端者の悲しみ」解説/和嶋慎治・神々の椅子note ムーPLUS
おわりに
ということでMTGプレイヤーに聴いてほしい音楽として人間椅子の異端者の悲しみを紹介させていただいた。
まったくである。
しかしながらこの曲が、誰かのMTGライフをより彩るきっかけとなればと願ってやまないのである。