このシリーズは、世界初のトレーディングカードゲームであるマジック・ザ・ギャザリング(MTG)のアートやフレイバーに無理やりメタルを紐付けて強引にオススメ曲を紹介する記事群である。
絆リス
緻密な世界観と魅力的なアートをベースとした圧倒的なフレイバーを持ったMTGを、より豊潤にしうる音楽であるメタル・ハードロックの数々を紹介していければと思う次第である。
これを読んでいただいたマジックプレイヤーが気に入ったメタルを見つけだすきっかけとなれば望外である。
【MTG】氷雪多色コントロールとMOKOMA「Takatalvi」【メタル】
下環境はわりとアイスエイジ
真冬というカードがある。
最高にクールなフレイバーを持ったカードである。
このあまりに寒々しいアート、黒い縁、さらに身をつんざくほどの静寂を感じさせるフレイバーテキスト。
“At last, silence.”
――Tevesh Szat
なにやらたまらない。
かつてこんなにも北欧メタルを感じさせるカードがあっただろうか。
それにしてもかのモダンホライゾンでは、多くのパワーカードが下環境を激変させている。
不意に再録されたメカニズム「氷雪」もその激変を大きく担っており、再録されたフルアートの氷雪基本土地はもちろん特に氷牙のコアトルとアーカムの天測儀の2枚はおなじみのセットでコントロールデッキなどで大活躍している。
1マナ・キャントリップという手軽さで色事故を防げるというのは便利すぎる。
筆者が好んでいるモダンにおいて、氷雪系のデッキといえばかつては赤単氷雪などと呼ばれるコントロールデッキがまれに使われていたくらいだったが、現時点(2020年4月のイコリア発売直前)においてはバントコントロール、ウルザ系のコンボ・コントロール、5Cニヴなどメタゲーム上でも幅を効かせている。
筆者が気になっているのは、冒頭紹介したの真冬をフル搭載した4色の氷雪コントロールデッキである。
参考
多色コントロール/Multi Color Control晴れる屋
上記はMOのリーグ5-0のデッキである。このプレイヤーは2ヶ月に渡りこのデッキを微調整しながら計9回ほどMOで5-0またはプレリミナリー4-1以上を上げているようである。
スゥルタイタッチ赤といった配色で、多色土地は0。基本土地フェッチが計8枚採用されている。それでいて20枚のマルチカラーのカードが入っているのである。
10枚の氷雪基本土地、4枚のアーカムの天測儀とコアトル、そして真冬、更に上記のリストでは1枚刺しのマリッド・レイジのまどろみも採用されており、だいぶ気温が低い。
いやはや、こんな寒いのはこのデッキか、MOKOMA「Takatalvi」くらいのものだろう。
MOKOMA「Takatalvi」を聴きながら氷雪パーマネントを繰るべし
MOKOMAはフィンランドのメタルバンドである。
そしてフィンランド語を歌い活動しながらに世界レベルで最も成功を収めているバンドの一つであろう。
ジャンルとしてはスラッシュメタルとデスメタルの派生にあたるだろうか。
SLAYERばりのスラッシュリフで聴くものを震わせたかと思えば、北欧の自然を感じさせる雄大なアンサンブルがひびきわたり、垣間見せるメランコリックな趣きもすばらしい。
まったくである。
ともかく重厚な音作りは聴き応え十分であり、凄まじい。
そんなMOKOMAでまずおすすめしたい曲が「Takatalvi」である。
豪快である。そしてタカタカが耳に心地よい。
もちろんフィンランド語なわけだが、幸い日本デビューもしているバンドであり、対訳も存在する。
訳を紐解けばこの曲のテーマは「冬の仕返し」。
「春かと思ったら全然冬だったよチクショウ!」といった感じである。
そしてこの歌の中の人物はまさに冬に屈する寸前。
つまりこの歌のすべては心の叫び、生命の最後のほとばしりであろう。
At last, silence.
おまけのおすすめアルバム
このTakatalviが再録された日本デビュー1枚目となる「Hengen Pitimet」がMOKOMAおすすめアルバムである。
是非聴いてみていただきたい。
おわりに
ということでMOKOMAいいぞ! という話である。
余談だが、上に貼ってある「Takatalvi」のMVの映像は日本のLOUD PARKフェスの2013年開催時に来日した際の映像である。
そして筆者はこのライブを観ている。
そのときの印象深かったこととして、ステージ上をTシャツのおじさんが楽しそうにライブをした後、物販(?)のTシャツを豪快に客席になげまくっていたことが思い出される。
豪快なあの音にまた触れたいものである。